My tech diary

ソフトウェアエンジニアをやっています。技術的内容を中心に調べたことを書いていきます。

エンジニア家を買う vol.02

Engineer will buy a house vol.02

これは、一介のソフトウェアエンジニア & デザイナーが、マイホームダッド & マミーになるまでを描いた記録である。

さて、だいぶ間が空いてしまいましたが、前回に引き続き、我々の家さがしの記録です。 まず、スタートとして、スー○とかラ○フルとかのネットの情報を頼りに、感覚を掴んでいきます。

どこにこだわって、どこを許容するの?

探し出すと、すぐにでも気がつくことがあります。

東京の土地高ぇぇぇぇええええ!!!!!!!

いや、分かっちゃいたんですが、分かっていたよりも高いですよ。 これは、やればやるほど分かるんですが、本当に東京で土地持ちの資産家って生まれながらに恵まれてるなと。 (もちろん税金がどうしても払えず、先祖代々の土地を売らなくてはいけない対価としてお金を受け取る人も多いでしょうから、いいことだけではないでしょうけど...)

井の頭線沿線が高いのは知ってましたが、それ以外も高いっ!!

vol.01 で判断材料として、いろいろ列挙しましたが、本当に何を重視するかのメリハリを付けなくては、とてもじゃないけど東京で家は建ちません。

我々の当初のざっくりしたイメージは、前回書いた「多摩地域で、戸建て一軒家」です。

その中で私が許容するポイントとして考えたのが、 沿線 or 駅からの距離 です。 やはり実際にどの沿線かによって地価って変わってきますし、また駅からの距離も露骨に地価に影響していきます。毎日の通勤のことを考えると、駅近の方が絶対いいよな、というのはよく聞く話ですし、今住んでいる以外の沿線の方を許容する方向で検討を開始しました。

まず多摩地域でいうと、我々は今住んでいる井の頭線・中央線沿線以外のことはそれほど分かっていないので、他の沿線で調べてみることにしました。 (東京の路線は以下の図のように大抵放射線状に伸びているので、東京人は、同心円状に結構近い距離でも都心への経路にない地域のことは、あまりよく知らないのです)

myhome_02_tokyo_railways.png (多分に主観を含む、たぶん世界一わかりやすい東京郊外の路線図)

不動産内見 1回目

1月下旬の話です。

最終的にはそこには決めなかったので、具体的な名前は書きませんが、井の頭線・中央線とは違う多摩地域の沿線上の物件を妻が見つけてきてくれて、連絡先として載っていた不動産屋さんとコンタクトを取って、内見をさせていただくことにしました。 (多摩というのは、広義では東京都の23区と島嶼部分以外の地域を指す言葉と捉えてもらって語弊はないかと思います)

車に乗せてもらって、妻・子供とともに、その普段行かないエリアのお宅を見せてもらいに行きます。車の中では、営業さんのお子さんの話などを聞いて、距離を縮めていきます。(もちろんお仕事なのでしょうけど、大変にいい方でした。この方がいなければ、私達の家探しは始まらなかったでしょう)

実際に行ってみると、建売でしたが、まぁやっぱり新築だし、キレイ! 一昔の家と違って、まぁキッチンカウンターのある、システムキッチンだし、至るところにクローゼットが用意してあるし、床暖もあったりするわけで、一通りは揃っています。賃貸なんかと比べると十分な広さのリビングに部屋数、2階には広めのベランダもあるし、住む分には何の問題もなさそうです。

価格的にも大変お値打ちで、十分想定の範囲内というか、これなら買えるなという価格設定です。 (カラクリとしては、建売もしくは建築条件付き土地というスキームによる、土地・住宅のセット販売により、数を売れば確実に利益になるというので、1件あたりのトータル利益を落とせるのと、ローコスト住宅ということで、いわばなるべく仕様の揃った既製品を使って、例えるならイケヤの家具を組み立てるがごとく家を作れるようにすることで、建築コストを落とすという、大変な企業努力によって成り立っている価格であって、それ自体は全て質が低いとは私は思っていません)

ついで、実はネットにはまだ載っていないんですが...、という切り出しで、まだ家は建っていないのだけど、土地の販売を始めているところがあると伺い、そこにも向かわせて頂くことになりました。

最寄りの駅まで徒歩10分程度の好立地、近くにはきれいな幹線道路もあるけど、そこから一歩引いたところにあるため、住宅地自体は車通りは全然多くありません。近くに学校、病院もあります。初見としては、かなり好印象です。

価格的にも建売まではいきませんが、建築条件付きのフリープラン (ある程度、間取りとかを相談して決めれるプランです) にすれば十分にお値打ちですし、土地だけ買うこともできるとのことです。

実際に歩いてみる

賃貸を決めるときもそうですけど、車で連れて行ってもらうだけではなくて、実際に自分の足で歩いてみて、地域の雰囲気とか、生活の便、通勤の便とかを確かめてみることは大事です。

建売で見せてもらったところよりも、土地を見せてもらったところの方が、夫婦ともども気に入ったので、早速次の日に行ってみることにしました。子供連れ故に、都心まで出て、そこからさらに別の路線に乗り換えて行くのはめんどくさかったので、カーシェアの車を借りて行ってみました。 (本当なら、電車も含めての視察なので、電車に乗ってみて行ったほうがいいんですけど、まぁまだその日だけで判断するつもりも無かったので)

駅前の駐車場に車を止めて、土地まで歩いてみます。確かに駅近だ。駅前にスーパーも飲食店もある。

でも、なぜだ、、なんだか、何か気持ちが上がらない。。。

その日は、たまたまどんより曇り空だったのです。そう、それ自体は本当にたまたまなのです。でも、それが今思えば縁が無かったということなのでしょうか。その曇り空に引きづられるように、何かいろんなものが野暮ったく感じてしまったのです。

私のその感覚は、妻も、いや、夫婦のみならず、言葉もまだちゃんと話せない子供までそんな雰囲気を感じ取って、いつもならはしゃぐのに、何故か元気がなかったんです。何か私はそこでおかしくなって笑ってしまいました。こういうことは過去にもあったような気がします。人生とはそんなものなんですよね。

きっといいと思ったところは、曇り空だろうが雨だろうが、それさえもよく感じてしまうものです。それがなかったということは、ここではなかったということなのでしょう。

頭を整理する

実際に歩いてみた結果、まずは振り出しに戻りました。

そこはきっと本当にお値打ちなところだったと思います。土地の分譲が始まって、家が建ち始めて、人々が住み始めたら、きっとそこは素敵な街になって、いろいろな家族の思い出がそこでまた始まっていくのだと思います。そのことに私は一片の疑問も持っていません。間違いなく、素敵な環境だったと思います。ただ、そこに私たち家族はいなかったということだけなんです。

ある程度、優先する判断材料を自分の中で固めていたつもりなのに、結局それはさっそく見直しを図られることになりました。今住んでいる井の頭線・中央線沿線以外のところも許容するとしていましたが、やはり、井の頭線・中央線沿線がいいな、と思うようになったのです。

でも、今になって思えば、これはとても当然のことだと理解できます。

誰だって、初めての土地に住むのは、不安を感じるし、ドキドキするものです。それがやり直しが利きやすいものならば、ドキドキのほうが大きくなって、ワクワクもするのでしょう。超短期でいうと旅行とか、あるいは、もうちょっと長期でも、賃貸で住む場合なんかは、むしろ自分の全然行ったことのないところに住みたくなるのは、そういう心理だと思います。

ただし、家を買うのはわけが違う。おいそれと変更できるものではないわけです。そこで、自分の殆ど知らない場所に住むのは、リスクが高すぎる。なかなかそういうスリルを楽しめる楽観家でないと、そういう判断はしにくいのです。不安のほうが大きくなってしまうんです。

かなりアクティブな方なら、いろんな土地の雰囲気や土地勘があるのかもしれませんが、我々のようなインドア派は、沿線単位で生活していますから、そういった意味であまり知らない沿線で家を買うという判断はそもそも無かったのかと思います。

また、そもそもなんですが、沿線によって土地の価格が変わると言いましたが、これ、確かに変わるんですが、そこまで変わるわけでもないのです。どちらかというと、やっぱり都心への通勤時間の影響のほうが大きいのです。

参考までに、土地・建設産業:平成30年地価公示 - 国土交通省 のリンクから辿れる以下の資料を見てもらえばよく分かるかと思います。東京駅を中心に直線距離で同心円を描いているので、やや図の中心が都心重心より北東側にずれていますし、確かに西高東低・南高北低傾向はあるものの、通勤時間の影響の方が大きいと言えるかと思います。

001226768.pdf

ネクストアクション

さて、沿線 or 駅からの距離、のいずれかを許容しようとしていましたが、結局、沿線の方は固定 (井の頭線・中央線沿線) になってしまいました。したがって、駅からの距離を許容する方向で再考を始めました。と、同時に、都心からの距離、という別軸での許容ポイントも浮上してきました。

つまり、許容ポイントの選択が 駅からの距離 or 都心からの距離 となったのです。

また、今回の内見で得られた非常に重要な知見がもう一つありました。 それは、「一般のネットで出ている情報は古い & 売れ残り」です。

不動産会社さんだけがアクセスできる、不動産情報サイト (例えば REINS: Real Estate Information Network System) があるという噂は聞いていましたが、通常、新しい情報は一般ピーポーに知らされる前に、まず不動産会社だけに知らされるのです。

というのも、一般的な不動産の販売は、以下のようなフローで行われるからです。

  1. 古家や農地などを売りたい人が、まず不動産屋や建築会社に相談して、それら不動産を売る (あるいは大規模開発などでは、ディベロッパー側が地主に声を掛ける場合もあるでしょう)
  2. 彼ら (不動産屋や建築会社) がどのようにして販売したいかを考えて、土地割など計画を立てる
  3. 彼らとしては、なるべく高く売りたいから、情報をまずはオープンにしない状態で販売を開始する
  4. その売り方で売り残った物件については、情報をオープンにし、価格も下げていって、最終的に全部売り切る

上記の 3 のステップが重要なのであって、情報をあまり出さないことによって、売主側の優位性が生まれて、価格交渉をやりやすくするんですね。結果的に、角地など好条件のところが、比較的売主側優位の価格で売れていきます。 (この時点で値下げ交渉をしようとしても、売り主優位の状況なので、あまりうまくいきません)

したがって、新しい情報は、まず 3 のステップで販売されていますから、実際に彼らのもとを訪れてみなくては、なかなかそれらの情報にアクセスできないわけです。

また、相対的に魅力的でない物件ほど、売れ残って、一般のネットに掲載されるというわけです。こちらの方は、比較的価格交渉はやりやすいでしょうが、やはり不動産としての魅力は一般的には低いことになります。 (それが、その人にとっての許容ポイントにあたるのであれば、むしろお買い得とも言えるのですが)

さらに、不動産屋や建築会社のことを彼らと書きましたが、割とこの業界の慣習で、ここのコネクションが強いがために、例え別で売れそうな話があったとしても、以前からのつながりのあるところからの話を優先するような商習慣さえ売主側にはあるようです。そうやってリスクの大きな不動産取引において、信頼関係によって利益を守ってきた業界なのです。おそらく。

そんなわけで、長くなりましたが、一般のネットで得られる情報は、あくまで参考程度に考えたほうが良さそうということが分かりました。

つづく。

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References